かながわでにほんご Study Japanese in Kanagawa

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2020.10.24 オンラインフォーラム開催報告

日本語学習支援フォーラム
~これからのかながわの地域日本語教育を考えよう~
開催しました!

今回のフォーラムは、かながわで今後、様々な担い手が連携・協力し、一体となった日本語教育の総合的な体制づくりにつなげることを目的に開催しました。

オンラインでの開催でしたが、地域の日本語教室のボランティアの方を始めとして、175名の方が参加され、講師・パネリストの発表をお聞きしながら、今後の地域日本語教育の充実に向けて、何ができるかを考える時間を共有しました。

引き続き、地域日本語教育の取組を進めたいと考えておりますので、今後とも皆さまのご支援・ご協力をお願いいたします。

開催概要
日時
2020年10月24日(土)14:00~16:00
開催方法
ZOOMウェビナーによるオンライン開催
参加者数
175名
神奈川県内外の地域日本語教室ボランティアの方、これから関わりたい方、日本語学校教職員、自治体・NPO職員、高校生・大学生など
プログラム
第1部
<神奈川県の取り組みについて①>
・「かながわの地域日本語教育の施策の方向性」について(神奈川県)
<基調講演>
・多文化共生をめざす地域日本語教育の役割(神吉宇一かみよしういち/武蔵野大学准教授(公社)日本語教育学会副会長)

第2部
<神奈川県の取り組みについて②>
・令和2年度の地域日本語教育に関する取組(かながわ国際交流財団)
<パネルディスカッション>
パネリスト発表
・今、そしてこれから ともに学び、ともに楽しむ(中和子なかかずこ/ユッカの会代表)
・外国籍県民の立場から(ちぇよんそん/日本外国人ネットワーク代表)
・綾瀬市における地域日本語教育の取り組み(瀧川たきかわせん/綾瀬市企画課国際・男女共同参画担当)
パネルトーク(ファシリテーター 神吉宇一 及びパネリスト3名)
プログラム詳細

※発表資料はクリックすると開きます。

■ 第1部

□ <神奈川県の取り組みについて①>
「かながわの地域日本語教育の施策の方向性」について(神奈川県)
令和元年6月に成立した日本語教育の推進に関する法律に、地方公共団体の責務が規定されたこと等を踏まえ、県内の市町村等の日本語教育施策等の現状と課題を把握した上で、行政、日本語ボランティア、関係機関等の役割を考え、令和2年3月に取りまとめた本県の地域日本語教育の推進に向けた施策の方向性について説明を行いました。

□ <基調講演>
多文化共生をめざす地域日本語教育の役割(神吉宇一)


発表資料

■ 第2部

□ <神奈川県の取り組みについて②>
令和2年度の地域日本語教育に関する取組 ((公財)かながわ国際交流財団)
令和2年度の神奈川県の地域日本語教育事業については、(公財)かながわ国際交流財団が委託を受け、実施しています。コーディネーターの配置のほか、モデル事業として実施している専門家による日本語講座や、情報提供・相談対応などの取組を紹介しました。

□ <パネルディスカッション> パネリスト発表

(1)中和子 (市民ボランティア団体 ユッカの会代表)
「今、そしてこれから ともに学び・ともに楽しむ」(ボランティアの立場から)

外国につながる人たちと出会い、関わる中で必要となった活動を30年以上にわたり継続されている「ユッカの会」の取組を紹介されました。
また、地域日本語教育の新しい枠組みが作られようとしている中、地域の教室の中でも「教え/教わる」関係から、互いに知り合い、助け合い、ともに学び、新しい文化をつくりだす形を目指したい、そのためにより多くの機関・団体とつながっていきたい、と話されました。

(2)崔英善 (日本外国人ネットワーク代表)
「外国籍県民の立場から」

日本語学校と地域の日本語教室双方で学んだ経験を踏まえ、ボランティアによる教室と、日本語学校での集中的な学習がご自身にとってどのような影響を与えたのかを紹介されました。
また、これからの地域の日本語教室のあり方として、特に外国人住民の力を活かし、共につくることの重要性を指摘されました。

(3)瀧川泉 (綾瀬市企画課 国際・男女共同参画担当 総括副主幹)
「綾瀬市における地域日本語教育の取り組み~基礎自治体の視点からの現状報告と今後の展望~」

取組の背景、日本語教室・外国人住民・市役所内の課題の把握から始まった具体的な対応、また今後の課題・展望や推進に向けたステップのイメージなどを提示されました。
また、課題解決に向けた連携の重要性が指摘され、様々な関係者が互いを理解して尊重し、丁寧なコミュニケーションを続けていくことが大切、と話されました。

パネルトーク(ファシリテーター:神吉宇一)

神吉宇一さんの進行によるパネルトークは、「市民の活動と行政との連携」「行政機関の中で多文化共生の位置づけ、どのような課題があるか」「日本語教育推進法の制定などによる行政機関の中での変化の可能性」「外国人住民のニーズをどのように把握するか、取り組むか」「課題解決を進めるために足りないものは何か」「外国人住民のための情報提供と『やさしい日本語』」などを話題として進みました。

中さんからは、外国人住民に関わる課題への対応にこの数十年で大きな変化があったこと、困難があってもあきらめずに、皆で話し合ってよりよい方向を追い求めてきたこと、自分たちで抱え込まずに様々な組織や団体につなげてきたことに大きな意味があったことなどが話されました。

瀧川さんは、行政には予算・人員に限りがあり、膨大な政策課題がある中で多文化共生をどのように推進していくか、縦割りとの批判もある一方で、きめ細かい専門的なサービスを行うための行政組織の状況についても触れながら、多文化共生のまちづくりのために地域の現状と課題を常に把握し、連携を組み立てて地域ならではの日本語教育環境をつくっていくことの大切さを話されました。

また崔さんは、地域日本語教育の充実のために外国人住民のアイディアが活かされない現状がとても残念と指摘。自ら団体を立ち上げて文化庁の助成金を獲得して事業を実施した経験などに触れ、現実的に行政や市民が動くためにはどうしたらよいかを常に意識していると話し、多文化共生の実現は本当に難しいけれど、あきらめては終わり、楽しむ心を忘れないで取り組もうと参加者に呼びかけました。

このほか、時間の制約もありましたが、参加者からチャットで寄せられた数多くの質問・コメントについても、パネリストに議論していただきました。

最後に、ファシリテーターの神吉さんから、地域日本語教育は、「外国人住民の課題」ではなく、外国人住民とともに生きていく「地域の課題」であり、私たちがやろうとしていることは、取組を通して仲間を増やし、地域の未来をつくること、よりよい社会をつくることではないか、それぞれの立場から自分自身が何ができるか考えたい、というコメントがあり、フォーラムが締めくくられました。

■ 参加者の声

参加者の皆さまの声を、ごく一部ですが、以下にご紹介します。

  • 今回のフォーラムのように、様々な立場の人達が地域日本語教育の充実という共通課題について意見を交わせる機会を設けることで、問題意識が共有され横のつながりが増えていくことを期待します。
  • 本市は外国人市民の多住地域だが、なかなか日本語教室のすそ野が広がらず苦慮している。講師のボランティアも高齢化が進んでいる。行政と連携しながら、何とか外国人市民の切実なニーズを受け止め、きめ細かいサポートができるよう取り組んでいきたい。
  • 行政が得意とする分野、ボランティアだからこそできる分野、それぞれの良さがあると感じる。そこをどのように調和させていくか、相互補完する関係性を築いていくかという部分に興味が湧いた。
  • ボランティア活動に参加する際は、正しい日本語を教えなくてはいけないと思っていました。本当に大切なことは、人々に寄り添い繋がりを持つ場所を創ることなのだと思います。
  • ボランティアで日本語を教えています。今まで自分が活動している市の中しか見ていなかったが、県のレベルでの課題や対応が分かり参考になりました。
  • 神吉先生のデータをもとにした明解な分析と、全ての人に寄り添う温かい心に感銘を受けました。先生の着眼点、投げかけられる疑問に大変刺激を受けました。
  • 市町村により、行政側の立ち位置も差があり対応も異なります。縦割り社会の横糸を紡ぐという中さんのご発言が印象的でした。
  • 崔さんの外国人市民としてのご意見がとても印象的でした。日本語学校と地域日本語教室の両方を経験されている為、改めて気づくことが多かったです。
  • 綾瀬市の瀧川様は、自治体内ごとに政策優先順位が異なることも冷静に捉えておられ、それぞれの立場の人たちが、自分中心になり過ぎず、平衡感覚を持つことの大切さも教えていただきました。