かながわ民際協力基金 助成団体インタビュー
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かながわ民際協力基金インタビューVOL.4

かながわ国際交流財団の「かながわ民際協力基金」による助成金を活かし、県内の在住外国人や世界中の人々へのさまざまな支援活動をするみなさんの思いを伺います。
※その他のインタビューページは →こちら

外国人自らが地域に参画して、役割を感じられる場所づくりを
●NPO法人Sharing Caring Culture(SCC)
●代表理事 三坂慶子さん
(インタビュー実施日 2022年1月10日)
SCCホームページ https://sharingcaringculture.org/













Sharing Caring Cultureという団体のお名前に込めた思いはどのようなものでしょう?

私自身は3年間だけですがアメリカで小学校時代を過ごした帰国子女でした。子どものころに、いきなりアメリカに行き、英語が話せない中で現地の学校に通いました。また日本人がほとんどいない学校であり、自分だけが日本人で日本語が通じないという環境でかなり心細い思いをしました(写真中央右が当時の三坂さん)。

担任の先生がそういったところを配慮して、日本人であることを逆に意識しすぎている私に「みんな違うからみんなとの違いをそんなに気にしなくてもよい」「違いはよいこと」と教えてくれました。その後、帰国して静岡の公立の小学校に入ったのですが、当時、帰国子女はあまりいない時代でしたし、田舎の学校だったので、すごく珍しがられました。外国で過ごしていたことに対する周りの反応を通して、小さいながらアメリカと日本との違いによるカルチャーショックを受けました。


社会人として当初は民間の英会話スクールで英語を教えていたのですが、その時に、小学校ではいま外国人児童も増えているということで、川崎市の小学校で外国人児童に日本語等の支援を行う日本語指導等協力者、その後、2008年に川崎市立小学校の教諭に着任し、外国につながる児童の担任をすることもあり、校内の国際理解教育の担当を務めたりました。自らの子ども時代のこともあり、外国人児童の担任になってから、特に保護者の困りごとに直接、触れるようになりました。それまで私は教えるという仕事に従事していたので、わからないことを教えてあげるとかサポートするという立場だったのですが、そのうち「支援する―される」という関係の中ではないところで、「もう少しその人たちが持っている力を活かす場があれば」といったことや「その人たちが学校ではなくて地域のコミュニティの中で互いに支えあう仕組みができればいいのではないか」ということを考えるようになりました。

マイノリティ=支援される立場、ということについて人によっては「自分でもできることがあるのに」という思いを抱いている方もおり、支援を受け続けるだけの状況に負担を感じ始めている方がいました。それがこの団体の立ち上げメンバーのフィリピンと韓国の二人だったのです。
日本で15年も20年も住み続けていて、自分たちもできることが増えてきたのにいつまでも「外国人だから困っているでしょ」と言われるのは心もとない。なにか私たちも地域でできることがあるのではないかという思いを実現する場を作れれば、と考えました。言葉の壁はあっても、好きなことや得意なこと、また母文化のことなど、それぞれが自信を持って取り組めることを媒介とした文化的な活動であれば、誰かとつながることができるのではないかと考えて、「文化を分かち合う」という意味でSharing Caring Cultureという名前を当時のメンバーと決めました。



ホームページは英語の表記となっていますね。


そもそも2014年に私とともに任意団体を立ち上げたメンバーがフィリピン、韓国そして日本人の4名で、そのうちの2人は在住20年ほどなので日本語でまったく問題なく運営ができていました。ただ、多文化親子交流会や子ども向けのイベントを続けて行くうちに、集まる人たちが「英語で情報発信してくれて、助かる」という言葉を聞くようになり、また英語であれば活動に主体的に参加できると言って、企画を担ったりするようになりました。

地域性もあるのか、英語を話す外国人がどんどん増えていったのです。フィリピン人でも日本語はできないけれど英語はできるとか、インドネシアの人で日本語は苦手だけど英語で情報が欲しいという人が集まり始めて、言葉に関して英語中心でコミュニケーションする人たちが増えたのです。参加する人たちのニーズが英語での情報を探していることによって、現在のように英語がメインの言語になっていったという背景があります(写真はSCCのホームページ)。

また外国人の人たちの間では「おやこ交流会(OYACO’s Room)」に参加したいというニーズが高いのですが、そこに来る人たちの声を聴くと、地域の子育て情報が日本語では発信されているけれども、実際に外国人の子育てにすぐ役立つ「口コミでまわるような地域の情報」がなかなかないので、こうした情報をせめて英語でもいいから発信して欲しい、とのことでした。理想としては多言語化できるのがよいのでしょうが、そこまでの予算が取れない中、最低限、英語での情報発信をしています。


また、メンバー間ではクローズドのLINEグループでコミュニケーションをとっていますが現在、35人ほど入っています。そこでは基本的にすべてのやりとりを英語でしています。「おやこ交流会」を主催しているリーダーとなっている外国人メンバーの多くが英語を母国語としている人たちではなくアジア圏の人たちです(参加者側としてはアメリカやカナダなど英語を母国語とする外国人もいます)。そうした運営側の人たちはインドネシア、マレーシア、タイ、インド、コスタ・リカ、イギリス、カナダ、ロシアの出身のママやパパです。彼らの共通言語が英語なので「英語」をメインに使うということになっています。



おやこ交流会のことを、英語では「OYACO’s Room」と呼んでいますね。


「OYACO」は日本語の「親子」にちなんで名付けました。OYAKO ではなく、OYACO と COを使ったのは、コミュニティ(community)のCOを意味づけて、外国人親子が地域に根づいて欲しいと願ったからです。また外国人家族も地域で子育てをしましょうという意図も込められています。もともと「OYACO」という名前で冊子を作っていましたが(写真参照)、幸いなことに、実際に冊子を手にした外国人から「OYACO」は(苦しい状況から救ってくれる)ライフセイバーと言っていただいたり、お礼の手紙をいただいたりしています。「OYACO」という名称が地域の中で少し知れ渡るようになってきたので、今は「おやこ交流会」を「OYACO’s Room」の名称で統一して使っています。

活動の対象としては、ゼロ歳から未就学の6歳までの子どもたちとその親になりますが、コスタリカ出身のお母さんと日本人の保育士の方(現在、育休中ですが外国籍の多い大和の保育園で保育士をしている方)がこの2年間サポーターとして入っています。保育士の方は外国籍児童が多い保育園に勤務しており、英語もできますし外国籍児童が多い場合に起こる課題についても保育園の中で経験しています。


例えば、モノの貸し借りが言葉を話せないためにできなくて、特に外国籍の子どもが他人のモノをとってしまうことがあります。日本ではモノの貸し借りをするときは、「貸して」「いいよ」というやりとりがあったりします。子どもたちは自然にそれを学ぶけれども、親が外国人の場合、そのような、よく公園で行われているルールというものがわからない。親も言葉がわからないので、そのことを知りません。なので、OYACO’s Roomにおいて、保育士が日本では「貸して」「いいよ」という日本語の言葉で子ども同士のやりとりを伝えることによって外国籍のお母さんたちも知らなかった日本でのルールや躾のようなことを、自然と伝えています。お母さん自身がこうしたことを知らないと子どもにも伝えられませんからね。ゆくゆくは幼稚園に入った時に、その子ども自身がそれを知っていることで、トラブル発生の可能性も少し減るのではないかと考えています。

また、これはドイツのお母さんから聞いた話ですが、公園で子どもたちが遊具で遊んでいる時に、たまたまその方は、遊具の後片付けを日本の子どもたちがきちんとしている様子を見て、そのことにプレッシャーを感じたようです。その方は二人のお子さんがいるのですが、自分たちの子どもは、好き勝手にやっているのに日本人は他の人たちに迷惑をかけないようにしているので「ちゃんとしなければいけない」という無言の圧力を感じるとのことでした。そこで、「日本人でも暴れる子もいるので、そこはあまり気にしなくてもよい」という話をしましたが、日本人の規律を重んじる姿勢とのギャップを気にする外国人のお母さんもいますね。

ちなみにOYACO’s Roomで使っている言葉は、英語がメインとなります。先ほどの保育士の方が英語と、時おり「やさしい日本語」も交えながら話しています。最近は、中国やシンガポールの方も増えてきており国籍は割とばらばらですが、みなさん会話の入口は英語の方が多いですね。最近は、中国語を話す人たちの参加が増えていますので、少しずつ多言語化していきたいと思っています(写真は今年1月開催のおやこ交流会のバナー)。



団体としてイベントを開催し始めたころは、どのような苦労がありましたか?


最初から多文化親子交流会をやろうと思っていた訳ではありませんでした。私が川崎市の小学校で教師をしていた頃、当時、国際理解教育の民族文化講師を務めていたフィリピンと韓国の出身者の二人に出会いました。その後、2014年に私から二人に声をかけて、孤立しがちな外国人主婦が地域とつながる活動をしたいと話をしました。団体としての活動を始めるにあたって、まずはフィリピン出身のネニタさんが「バナナ春巻きづくり」の講座を開きましたが、参加者は、知人の2名だけでした。


どうやったら地域の人たちが参加するイベントになるのかと思案したところ、子育て中の外国出身の人も、日本人も気軽に参加できるのは、子どもも同伴できる場なのではないかと思い、「多文化親子交流会」という名目で新しい活動を始めてみました。私がもともと子どもたちに英語を教えていたり、小学校の教師をしていたということもあり、最初の頃は、私が多文化親子交流会をリードしていました。手書きでチラシを作って区役所の区民活動センターなどに置いて広報したところ、タイ人の親子がやってきました。

彼女は2歳の女の子のママで「こういう場所を探していた」といって来てくれたのですが、参加者はその親子1組だけでした。ただその時、彼女が「次の『おやこ交流会』の時には私のママ友を連れて来ます」ということで、彼女の友達のタイ人家族が参加し、その友達の韓国の親子も一緒に来ました。当初は試行錯誤の連続でしたが、こうした中で半年を過ぎる頃には10組を超える多民族の家族が集まるようになり、そして日本人も加わるようになって「おやこ交流会」は、2022年1月までに89回実施、親子延1,016人が参加しています。



「おやこ交流会」の他にも「週末家族イベント」なども開催されていますね。



最初は「おやこ交流会」でゼロ歳から未就学、小学校入学前の子どもたちを育てているお母さんとその子どもの場づくりをしていたのですが、長年こうした活動を続けていくと、当然のことですが子どもが成長していきます。すると、ママたちも少しずつ子育ての手が離れていき、こちらから声をかけなくても「自分の国のお料理が得意」とか「私の国ではこんなダンスをしています」とか、パパでも「僕はプログラミングができるよ」といったような方々が現れ始めました。何度かイベントに参加していく中で、自然発生的に「私はこんなことで役に立ちたい」という新たな関係が生まれてきました(写真は横浜市にある「こどもの国」でイベントを開催した時のものと運営メンバーの家族で紅葉を見に行った時のもの)。


今年私たちの活動は8年目になるのですが、活動を続けていく中で子どもたちの成長と共に家族の状況の変化で色々とできることが増えてきた状況です。そういった意味でも、コミュニティはすぐ作って、何かすぐにできるわけではないことが、これまでの経験からわかったことです。


種をまいて芽が出て花が咲く、というような成長のステップが団体の活動と噛み合ってきたのと同時に、一方では、その家族の変化に伴って課題も変わってきていると感じています。幼少期の子どもたちが成長してくると、地域の小学校にどうやって通わせようかと悩むわけです。例えば自閉症のお子さんを育てている外国人の家庭であれば「外国人が教育相談を受けられるのか」「そもそも、そういったサービスはあるのか」あるいは「学童にも通わせたいが、障害がある子どもが通える学童があるのか」といったニーズが出てきたりします。

また、欧米では、義務教育を家庭で行うホームスクーリングが法律で認められていますが、日本では、小中学校での教育が義務付けられているため、学校へ通わない場合は、不登校となってしまいます。ですが、中には、意図的に家庭での義務教育を望む欧米人も多く、その人らしい教育を選ぶという点で、窮屈な思いをしている人たちもいます。

ちなみに私が住む横浜市都筑区は、令和4年1月時点で外国人の数は、3,433人と横浜市の南部地域と比べるとそれほど多くはありません。ですが、区内にはドイツ系の企業が多く、またドイツ系のインターナショナルスクールもあるため、行政施設をはじめ、子育て支援拠点などで外国人住民への対応が求められており、私たちは、特に都筑区子育て支援センターポポラと協働し、外国人のコミュニティ支援をしています。



親が外国人同士の場合、未就学児の子育てについて、特にどのような点が大変でしょう?



今年は、2018年に外国人当事者と一緒に編集、出版した地域の子育て情報冊子「OYACO」を改定する編集作業をしています。まずは、読者となる子育て中の外国人当事者の声を拾い、彼らが求めている情報は何かをつかむために、オンラインアンケートを実施するほか、生の声を聞き取りする「子育て座談会」を2021年10月に開催しました。2020年度の民際協力基金で「子育てワークショップ」を実施させていただきましたが、その中で毎回参加される方で、夫婦ともに外国人国籍のパキスタンの親子がいました。子育て支援センターPopola(ポポラ)と共催した企画で全6回開催しましたが(後述)、6回とも3歳の男の子を連れて電車で通われて参加しており、パキスタン出身のお母さんは翌年4月から通う幼稚園を探さなければいけない状況でした。

テーマが「幼稚園の選び方」という回で、私たちのメンバーで夫婦共にインド出身のお母さんも参加し、その方の体験も話してもらいました。パキスタンの方は「同じ体験をした人の話を聞く場がなかなかない」ということで熱心に参加した理由というのもそれでした。日本では幼稚園の募集が年に一回、入園する前の年の秋(10月頃)にしか募集しないので、そこを逃してしまうともう定員が埋まっていてほとんど入ることができません。インド出身のお母さんは、仮に空いていたとしても日本語ができる人であればかろうじて入れるものでも、英語対応が必要な外国人が日本の幼稚園に入ることのハードルの高さを語っていました。

この例のように急に日本にきてどこかの幼稚園に入るというのは難しいのですが、こういう情報は外国人の方は、なかなか入手しづらいのではないかと思います。ちなみに先ほどのインドの方の場合、インドでは一年中いつでも随時募集をしているそうです。その感覚で日本に来たら、日本には1回しか入園のチャンスがなく、そのことは事前には知らなかったと話していました。


またパキスタンの方は、ムスリムなので幼稚園で出される給食の中身やお弁当でもよいのかどうかについて、とても気にされていました。私たちも情報を調べて日本語の文章を翻訳したものを本人に伝えながら、どの幼稚園なら大丈夫そうか調べましたが、実際に「ムスリムなので給食にお弁当を持たせてもよいか」と問い合わせをしても「お弁当は基本的に受け付けていないので、その子だけお弁当にするというのは認められない」ということもありました。

この他にも、受け入れてくれる幼稚園が決まって、入園手続きをする段階になって「幼稚園の保育料を引き落とす銀行口座は、幼稚園指定の口座にお金を入れてください」とのことで、更に新たに口座をつくることになりました。外国人が日本で口座をつくるのはとても大変なことなので、私たちのサポーターの女性が銀行に同伴して幼稚園指定の口座をつくるお手伝いをしました。日本人であればスムーズにいくことが随所でさまざまな壁にぶつかることになるので、このような日常生活にかかわる手続きなどについても支援が必要となります。



民際協力基金の今回の助成期間(52期:2020年10月~翌年9月)でどのような助成事業をされましたか? また新型コロナウイルスの感染拡大の影響は受けましたか?


今回の助成金を使って行った事業は2つです。一つは「おやこ交流会」を定期的に開催すること、もう一つが「子育てワークショップ」を実施することでしたが、コロナによって会場探しで大きな影響を受けました。

「おやこ交流会」は、月1回の定期開催の予定でしたが、コロナ前は「月1回では物足りない」「子ども連れでは会場までのアクセスが大変」という意見もあり、青葉区、都筑区で会場を分けて、それぞれ月に一回ずつ開催することもありました。ただコロナの感染が広がってくると対面で実施することも難しくなったので、オンラインでも開催してみましたが、小さい子どもとともに継続して30~40分のプログラムを実施するのは非常に難しい状況でした。

では、どうやって実施していこうか?と困っていたタイミングでちょうど地域の子育て支援センターPopolaから、外国人の利用を促進するために「外国人対応の課題も知りたい」ということで、何か一緒にできることはありませんか?というお話をいただきました。そこで「では子育て支援センターを会場にして、子育てワークショップを一緒に開催させていただけませんか」とお願いして、4月から9月までの6か月は、その子育てワークショップとして「おやこ交流会」を開催できました。
当時は「緊急事態宣言」が発令されている最中でしたので、もし共催のワークショップができなかったら、どのようにして活動を実施していってよいか、暗礁にのりあげてしまうところでした。会場は行政が運営している場所だったので、人数制限をして感染症対策を講じた上であれば実施できるということで、毎回6組と参加人数を制限した上で定期的に開催することができました。

私たちが単独でワークショップを開催するよりも行政との共催であれば、感染症対策を講じる際にも心強いですし、実際に感染に対する心配も分散されました。また「当事者の声を聴くためのワークショップ」形式ということで、都筑区のこども家庭支援課の方や横浜市役所の市民協働担当の方が見学にも来られました。

そして定期的にワークショップを実施していく中で、子育て支援センターとの関係もぐっと近くなり、今では先方から今度はこういうテーマでワークショップを開催してもらえれば、という依頼をされるまでになりました。ちょうど明日(2022年1月11日)、そうした依頼を受けて人数は4名くらいで新たな外国人親子のためのワークショップで「離乳食についてのワークショップ」を開催します(コラム参照)。



民際協力基金に申請するきっかけはどのようなことでしたか?


2014年に任意団体として活動を始めようと思った時に、かながわ県民活動サポートセンターで助成金を申請したいと思い相談にいきました。それまで助成金の申請をしたこともない中で最初の一歩として、どういったところに申請すればよいか相談に行きました。そこで頂いたリストに「国際協力関係」というカテゴリーがあり、そこで初めて「かながわ民際協力基金」という助成金があることを知りました。

ただスタッフの方には「活動経験もないし、これから活動を始めるという段階ではちょっと難しいかも知れないので、実績を作ってからチャレンジした方が良いのでは」とアドバイスをいただきました。また実際に民際協力基金では、申請団体の条件として「団体設立後1年以上経過していること」がありました。


そして、これから任意団体を作って事業をスタートする人に向けたものとして紹介されたのが「中央ろうきん社会貢献プログラム」でした。「これから社会貢献事業を行いたいけれども資金がない」「どうやってスタートすればよいかわからない」という任意団体向けのものがあり、最初はそこに申請しました。そこで幸い3年間の助成を受けることができ、4年目はそのプログラムのステップアップとして、外国人親子向け子育て情報をまとめた小冊子「OYACO」を作りたいという提案をして100万円の助成をいただきました。のちに、この冊子を機に地域とのつながりもできました。


このような活動を通して問題意識や課題も明確になってきたので、4年前には実績もないということで申請を諦めていた「かながわ民際協力基金」にチャレンジしました。ちょうど2018年に子育て情報冊子OYACOを出版することになった時、かながわ国際交流財団のParenting Chart(子育てチャート)を特別に掲載していただき、また2019年にNPO法人として組織化したこともあり、「かながわ民際協力基金」に応募。採択していただくことになりました。



申請にあたりKIF職員のフォローはどうでしたか?


最初は職員の方とメールでやりとりをさせていただきましたが個別相談にも応じていただき、とても親切に、丁寧に対応していただきました。私たちの作った冊子「OYACO」にParenting Chart(子育てチャート)を掲載しているということが、周囲の人たちに信頼感をもたらし、それが「OYACO」に対する信頼感、そして私たちNPO法人への信頼感につながったのだと思います。

実際にこの冊子を読んでいる方から、「かながわ国際交流財団の子育てチャートがとても役に立つ」という声もあります。おそらく国際交流ラウンジや行政の窓口など置いてあるところがたくさんあると思いますが、そういうところには出向かない、あるいは、そこにこういうチャートが置いてあることが判っていない人たちが、まだまだ潜在的にいるのかなと思います。そうした中で、私たちの作った冊子「OYACO」をみた外国人の方から「こんな便利なものがある」「役に立つ」という声を上げていただいたのも私たちNPO法人の信頼感に繋がったのだと思います。


※KIF注:子育てチャート(やさしい日本語版)はこちらのサイトからダウンロードできます(やさしい日本語を含めて11言語でチャートを作成しています)http://www.kifjp.org/child/jpn/chart



民際協力基金について、もっとこうだったら良いのに、という希望などがあれば教えてください。


「民際協力基金」の横のつながりが、最初に助成を受けた2019年度(51期)の時には、対面で助成決定通知書の授与式も行われ、助成を受けている団体同士が会う機会がありました。ただ翌年の52期になるとコロナ禍の中でそれがオンライン形式となりました。ホームページで助成事業の概要については拝見することはできるのですが、同じ神奈川県内で活動している団体同士で横につながっていきたいという思いがあるので、実際お会いして話ができたらよかったと思いました。

最初の時には綾瀬市のムスリムの女性を支援している団体(Ayase Muslim Women’s Organization)の方と決定通知書授与式の時にお話をさせていただき繋がったということもあったので、オンラインよりもできれば対面でお話をするとまたぐっと距離が近づくのではないかと思いました(写真は、当時の授与式で話をするAyase Muslim Women’s Organizationの飯島さん〔写真中央〕と三坂さん〔写真手前左〕)。


2022年度(54期)も申請を考えているところですが、前回と同じ20万円コースなのか、あるいは100万円コースも視野に入れながら、私たちの目的に沿った方で申請したいと思っています。その目的というのは、今後の活動にもつながると思いますが水平展開も視野に入れた関係づくりです。私たちの活動している横浜市には、18区すべてではありませんが「国際交流ラウンジ」が設置されており、私たちの都筑区には「つづきMYプラザ(都筑多文化・青少年交流プラザ)」があり、そしてまた、先ほどお話しましたように、都筑区の子育て支援センターポポラがあり、共催でワークショップも開催しています。県内では横浜市は外国人の子育て支援は、充実しているのではないかということを最近、感じているところです。

ところが県西部の方に目を転じてみると、例えば伊勢原市ではベトナム人の人たちが増えているなど、外国人は急増している中で、国際交流を専門とした中間支援を行う活動がもっと必要ではないか?という声も聞いたことがありました。例えば、口コミで広がるような外国人が求める「生活レベル」の情報について、発信と受信のギャップをいかに埋めていくことができるのか?といった場合に、私たちがこれまでやってきた経験、知見を活かせる部分があるのではないか、ということも考えているところです。今、目の前で向き合っている地域コミュニティも大事にしつつ、これまで横浜市北部地域を中心に取り組んできた外国人を巻き込んだ地域づくりの事例を他地域で紹介し、知見やノウハウを共有することが、県内での外国人支援の偏りを解消することにつながるのではないかと考えています。



Sharing Caring Cultureの今後の展開や、具体的に描かれている未来像があれば教えてください。


私自身がこのNPO法人立上げの発起人だったこともあり紆余曲折しながら、ここまでがむしゃらに走ってきた一方で、もう止めたいと思う時もありましたが、メンバーや周りのサポーターに救われながらなんとか続けてきました。でも今後は、私がずっとリードするのではなく、メンバーが自分たちで考えながら自立した運営をできるような組織にしていくことが大事だと思っています。


これからは私は裏方として、事業運営のために必要な助成金申請などの作業を担いつつも、事業の企画や運営に関しては、メンバーが自分たちで考えて実施していくスタイルを作っていきたいと思っています。ただ、ある程度の経験が必要だと思うので、日本人でそこをサポートしながら外国人が前に出ていくような組織を今後つくっていきたいと思っています。

 彼らの声を聴くことによって、当事者だからわかること、そして私たちには気づかないことが目に見えるかたちで現れてきて、それが本当に受益者にとって必要な支援につながると思っています。なので、そうした仕組みを外国人自身に地域参画してもらいながら実現していくことができればよいと考えています。


【コラム】子育てワークショップ「赤ちゃんの食事のおはなし会」



開催日:2022年1月11日(火) 共催:都筑区子育て支援センターPopola(ポポラ) 会場:都筑区子育て支援センターPopolaサテライト(三井ショッピングパークららぽーと横浜3階)


講師を務めるのはSCCメンバーであるマレーシア出身のファラさんです。彼女はご主人が日本でIT関係の仕事をしており、現在子育て中でもあります。今回のワークショップは外国人親子も日本人親子も参加OKなので、ファラさんの話も聞きながら、外国の方が母国で作る「離乳食」と日本で作る「離乳食」の中身の違いや、工夫されている点など話し合いました。また日本では口に食べものをいれて咀嚼するのに「もぐもく」や「かみかみ」という表現をしますが、これを外国語ではどのように伝えたらいいのか、といったことなども含めて、互いに語りあうワークショップとなりました。



都筑区子育て支援センターPopolaサテライト
お茶の間サロン(ワークショップスタジオ)の展示について




Popolaサテライトのワークショップスタジオ(畳6畳ほどのスペース)には、都筑区に住んでいる外国人の方々が自国の文化や習慣を紹介しつつ、都筑区に住んでいる子育て中の外国人の母国を知ってもらう展示がされています。この展示には、SCCメンバーであるコスタリカ出身のエレナとタイ出身のイブも協力し、自分の子どもたちや母親の着ている衣装、そして本など彼女らから提供してもらったものが展示されています。



彼女らは、2014年の活動当初から「おやこ交流会」を支援しており、エレナの方は母国語はスペイン語ですが彼女は英語もでき、SCCの最初のイベントの参加者でもあります。生活に必要な日本語の話し言葉はマスターしていますが、読み書きはできないので本当に伝えたいことが伝わらないという悩みがあるようです。そうした意味でもSCCの活動に協力することが一つの心の拠りどころになっています。
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