ワークショップ

マルパ・ワークショップ 親子で楽しむ「ブルーノ・ムナーリ展」(平成30年6月3日)を実施しました!

マルパの活動の一環として、本年度より、神奈川県立近代美術館と当財団では、国際交流・多文化共生を目的とする、インクルーシブなワークショップを協働して行うことになり、今回、第1弾のワークショップを実施しました。

神奈川県立近代美術館・葉山館では企画展として、本年4~6月にかけて、世界的に著名なイタリアの画家・デザイナーであったブルーノ・ムナーリの展覧会「ブルーノ・ムナーリ こどもの心をもちつづけるということ」(以下、「ブルーノ・ムナーリ展」)を開催しました。
昨年7月開催のマルパ・キックオフイベントに参加した外国人学校の美術科の先生と、教え子である生徒・児童がその保護者も含めてワークショップに参加しました。

今回のワークショップの着想は、以前、小学生のこどもを持つある外国人ママから、こどもの年齢が上がると、こどもがママより日本語をうまく話せるようになるため、親子間のコミュニケーション・ギャップが生まれやすいと聞いたことにありました。
こどもとその保護者が一緒にアート作品を鑑賞することで、親子間のコミュニケーションを増やせないかと思い、同館と検討し、「ファミリー・コミュニケーションの日」(同館が展示室内で来場者同士の会話をできる日としている/毎月第1日曜日)である6月3日(日)にワークショップを開催することになりました。

当日は横浜山手中華学校と神奈川朝鮮中高級学校の2校から初級部(小学生)、中級部(中学生)、高級部(高校生)のこどもたちとその保護者、引率教員(王節子先生、姜泰成先生)合計19名が参加しました。また、外国人学校のこどもたちの絵画作品を展示する企画展を、横浜市内の図書館等で開催している「外国人学校の子どもたちの絵画展実行委員会」のスタッフの方々3名(加藤佳代さん、藤原敏雄さん、平澤咲さん)も、両校を結ぶボランティアとして参加しました。

最初に水沢館長による、こどもたちを迎えたウエルカムスピーチの後、両校のこどもたち同士が交流を深められるよう、自己紹介を含むアイスブレイクとグループごとの昼食会を実施しました。普段、同じ地域(横浜市内)に住みながらも、つながりのない両校のこどもたちでしたが、それぞれの学校で美術部やアトリエに所属していることもあり、自分たちの創作活動等を話題に盛り上がっていました。

ムナーリ展を案内したのは、同館学芸員の髙嶋雄一郎さんです。髙嶋さんのギャラリートークでは、ムナーリ作品の解説だけでなく、ムナーリが特に気に入っていた図形(「○」「△」「□(正方形)」)を展示作品の中から探し出すアクティビティーが行われました。アートは好きでも、普段、来ることのない「美術館」という施設で、こどもたちは目をキラキラさせながら、作品の中にある図形を探すために展示室内を走り回っていました。

創作ワークショップでは、同館で開発されたキット「ポータブル・アート・ミュージアムPortable Art Museum」が使われました。ワークショップを担当したのは教育普及担当学芸員の鈴木敬子さん・八木めぐみさんです。
国内の数多くの美術館から同館に送られてくる、様々な企画展の広報チラシを使って、 参加者は自分だけの「美術館」を作り上げた後、最後は集まって、ひとりひとりがその「美術館」への思いを語り合いました。
他の参加者の思いを真剣に、そして、楽しみながら、聞いている様子も垣間見られ、年齢や文化的な背景の異なる人同士が、こんなにもアートによってつながれるのかという、さわやかな感動を覚えました。

アンケートでは、「文化や国籍が違ってもやっぱり共通の話題とかが沢山あって楽しかった。」「初めて学芸員さんのお話しを聞きながら、鑑賞できてすごく楽しくわかりやすく絵を身近に感じられた。」等、国籍の異なる交流や初めてのギャラリートークに心をときめかせていた様子が分かる感想が寄せられました。

マルパでは引き続き、外国につながるこどもたち、若者たちをエンパワーできるアートワークショップを実施していきたいと考えています。(野呂田)


(展示室内でのギャラリートーク)

創作キット「ポータブル・アート・ミュージアム」の説明をする鈴木さん・八木さん

(創作ワークショップに熱中)

(一人ひとりの「美術館」への思いに耳をすます)