マルパ(MULPA)って何?

当財団のよびかけで、神奈川県内の4つの美術館の館長・学芸員と芸術祭連携団体の実行委員等が集まり、2016年度に立ち上げられたアートプロジェクトです。MULPAとはMuseum UnLearning Program for Allの頭文字を取った略称で、日本語では「みんなで“まなびほぐす”美術館―社会を包む教育普及事業―」としています。

マルパは定住外国人や障がいを持つ方々を含む「すべての地域住民」の、美術館へのアクセスを目的として、地域の美術館が芸術祭や大学と連携して包摂的な教育普及事業を検討・展開していきます。

共生・地域・アンラーン~3つのキーワード~

「マルパ」では、「(多文化)共生」、「地域連携」、「unlearn アンラーン」という3つのことばを大事にしています。「(多文化)共生」は40年続くKIF のミッションであり、「地域連携」は第4回以降のミュージアム・サミット(※)で基調となったキーワード、そして「unlearn アンラーン」とは、今回のプロジェクトで新たに提示されたキーワードで、英語ではunlearn、日本語で「まなびほぐす」という意味です。ステレオタイプ化した美術館イメージを問い直す、という意味が込められています。

2016年以降、神奈川県立近代美術館館長であり、ミュージアム・サミット監修者でもあった水沢勉さんを中心に、先に挙げた美術館・NPO関係者をメンバーとして運営委員会・作業部会を開催し、検討を進めてきました。

2020年のオリンピック・パラリンピックイヤーも意識し、⼀過性のイベントに終わらない息の長い取り組みとすることを目指して会合を重ねる中で、具体的な事業イメージとして、さまざまな事情でミュージアムにアクセスしにくい外国人、障害者など「マイノリティ」とされる人たちの、ミュージアムへのアクセシビリティーを高める教育普及事業が浮かびあがりました。

※21世紀ミュージアム・サミット 
2004年から2016年まで7回にわたって開催された当財団の事業。3回までは国内外の主だった館長による、ミュージアムのマネジメント等についての討議が主でしたが、第4回以降は「地域」がキーワードとなり、地域社会におけるミュージアムの社会的役割を主な論点とするとともに、「ワールド・カフェ」で美術館の館長・学芸員と一般の参加者が美術館について語り合うスタイルが取られました。

マルパのロゴ

マルパのロゴは、キューピーハーフやポカリスエットのデザインでおなじみのグラフィックデザイナー服部一成(はっとり かずなり)氏に作成していただきました。
服部氏によれば、このロゴはマルパのメンバーとなる美術館・団体が神奈川・湘南地域に位置することからマリンカラー(青×赤)を基調にしながら、「M」「U」「L」「P」「A」の5文字をいろいろな形態にすることで「多様性」と「楽しさ」のイメージを彷彿とさせています。また、聞き慣れないアンラーニングUnLearningという言葉を魅力的に感じたため、それを積極的に捉えたデザインになったとのことです。